こんにちは、和花人のMIHOです。
ひな人形を見ると、「きれいだな」「かわいいな」そう感じる方が多いと思います。
でも、ふと立ち止まって考えてみると、こんな疑問が浮かびませんか?
- なぜ人形なの?
- なぜ毎年飾るの?
- どうして女の子の行事なの?
その答えは、今の豪華な雛人形とはまったく違う、とても素朴な人形にあります。
雛人形の原点は「身代わりの人形」

これは、奈良時代以前(7〜8世紀)にはすでに見られたもので、
- 紙や木で作られた人の形
- 顔は描かれない、または簡略
- 穢れや災いを移すためのもの
人形で体をなで、病や不調、厄を託し、川や海へ流す。
これが、雛人形のもっとも「古い姿」です。
中国の影響|上巳節と「水に流す祓い」
上巳節は、
- 3月上旬
- 水辺で身を清め
- 季節の穢れを祓う
という行事。
この思想が日本に伝わり、
- 日本古来の人形信仰
- 中国の季節行事
が結びつき、「人形に穢れを移し、水に流す」という形が定着していきました。
紙雛の起源|平安時代に生まれた存在

紙雛はいつから?
この時代、貴族の子どもたちの間で「ひいな遊び」 と呼ばれる人形遊びが行われていました。
ただし、これは単なるままごとではありません。
- 人形で遊ぶ
- 人形に想いを重ねる
- 祓いの意味を含む
👉 遊びと祈りのあいだにあった行為
この中で、
- 紙で作られた
- 男女一対の人形
が生まれ、これが 紙雛(かみびな) の原型となっていきます。
紙雛は、
- 毎年新しく作られ
- 役目を終えると流される
「残さない人形」でした。
草雛の起源|庭と植物から生まれた人形

紙雛と並んで語られるのが、草雛(くさびな) です。
紙雛よりも古い時代にさかのぼると考えられており、奈良時代以前から行われていた人形(ひとがた)信仰では、草や藁などの自然素材で身代わりを作り、穢れを水に流していました。
草雛は、
- 藁
- ススキ
- ヨモギ
- 身近に生えている草
など、植物で作られた人形。
ここが、和花人としてとても大切にしたいところ。
なぜ「草」だったのか?
昔の人は、植物に、
- 再生する力
- 命が巡る力
- 邪を祓う力
を感じていました。
枯れても、また芽吹く。
土に還り、次の命を育てる。
紙雛・草雛と「庭」の関係

紙雛も草雛も、お店で買うものではありませんでした。
- 庭に出て
- 草を摘み
- 人形を作り
- 水辺へ向かう
つまり、
だったのです。
庭は単なる生活空間ではなく、季節と向き合うための場でもありました。
流すという行為に込められた意味
紙雛・草雛は、最後に 必ず流される という点が重要です。
これは、
- 捨てる
- 手放す
という意味ではありません。
- 穢れを自然に返す
- 水の流れに委ねる
- 人が抱え込まない
という、自然とともに生きる知恵でした。
飾る雛人形へ|意味の変化
室町時代〜江戸時代になると、
- 人形を流さず
- 家の中に留め
- 毎年飾る
という文化が生まれます。
ここで雛人形は、
- 厄を「外に流す」存在から
- 幸せを「家に留める」存在へ
と役割を変えていきました。
とくに江戸時代には、大奥を起点として、雛人形は華やかで装飾的な存在へと発展しました。
▼ 江戸時代の雛人形とは?大奥から広がった華美なひな祭り文化

この時代は、雛人形が“祓いの道具”から“暮らしの中で愛でる存在”へと転換した、大きな節目でもあります。
その祈りを、今の暮らしに合う形で残したものが、現代のコンパクトでくすみ系のひな人形なのだと思います。
▼気になる方は、どんな雛人形が選ばれているのか、眺めてみるだけでも楽しいですよ。
まとめ|紙雛・草雛は「祈りの原風景」
紙雛と草雛は、
- 素朴で
- 残らず
- 流される
存在でした。
でもそこには、
- 季節を迎える覚悟
- 無事を願う気持ち
- 自然に委ねるやさしさ
が、確かに込められていました。
今、雛人形を飾るという行為は、
昔、庭で草を摘み、
人形に願いを託した
その時間を、
もう一度、暮らしに迎え入れること
なのかもしれません。
紙雛や草雛は、毎年新しく作られ、役目を終えたら自然に返されていました。
だからこそ、雛人形は「一生もの」でなくてもいい。
そんな基準で選ぶ雛人形も、昔の人の感覚に、とても近い気がします。
くすみ系のひな人形は、主張しすぎず、それでいて、ちゃんと季節を運んでくれる存在。
「立派じゃなくていい」
「でも、意味のあるものを迎えたい」
そう感じている方には、今の暮らしに寄り添う雛人形だと思います。
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