こんにちは、元花屋「和花人」のMIHOです。
今回は、秋冬のガーデニングに欠かせない「パンジー・ビオラ」の育て方をまとめてみました。
寒さに強く、長く咲き続けるこの2種は、寄せ植えや花壇、ハンギングにも大活躍しますよね。
この記事では、苗から育てる場合と種から育てる場合の両方を解説し、最後に「知っておきたい種苗法のポイント」も軽く触れます。
パンジーとビオラの違い

どちらもスミレ科スミレ属の一年草(または半耐寒性多年草)です。
実は親戚関係にあり、違いは「花の大きさ」と「咲き方」にあります。
| 名前 | 花の大きさ | 印象 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| パンジー | 約5〜8cm | 華やか・存在感あり | 花壇・メイン花材 |
| ビオラ | 約2〜4cm | 可憐・繊細 | 寄せ植え・鉢・小スペース |
最近は“パンジービオラ”として同列に扱われることも多く、どちらも育て方はほぼ同じです。
苗から育てる場合の基本
1. 植え付け時期
一般的には10月〜11月が最適。
近年では、10月上旬まで真夏日が続くことも珍しくありません。
まだ気温が高い時期に植え付けてしまうと、若い苗にとっては過酷な環境となり、根張りが悪くなる原因にもなります。
秋に植えて冬越しし、春まで長く楽しめます。
寒冷地では春植えも可能です。
2. 用土
水はけが良く、保水性のある培養土を使いましょう。
市販の花用培養土で十分ですが、私のおすすめは以下の配合です。
赤玉土(小粒)5:腐葉土3:パーライト2
+緩効性肥料を少々混ぜる
パンジー・ビオラは「根が浅く、過湿を嫌う」タイプ。
そのため、水はけの良さと通気性が特に大事です。
「赤玉5:腐葉土3:パーライト2」は基本的にバランスが良いのですが、気候が暖かい地域や雨の多い場所では、もう少しパーライト(または軽石)を多めにしてあげるとベストです。
理想的な土の目安
| 用途 | おすすめ配合 | ポイント |
|---|---|---|
| 鉢植え・寄せ植え | 赤玉土4:腐葉土3:パーライト3 | 水はけを優先。根腐れ防止に◎ |
| 花壇植え | 赤玉土6:腐葉土3:パーライト1 | 保水性も確保しつつ排水良く |
| 市販の培養土使用 | 花用培養土7〜8割+パーライト2〜3割を追加 | 通気改善・根張り促進 |
※緩効性肥料(マグァンプKなど)は「少々」でOKです。
植え付けのコツ
近年は、良質な苗ほど生産者さんが土にもこだわっているため、無理に根鉢を崩さず、そのまま植え付けてOK。
パンジー・ビオラは根が張りにくいので、若い苗を触りすぎると、花が咲くのが遅れたり、生育が止まることがあります。
鉢に植えるときは、根鉢を軽くほぐす程度で大丈夫です。
流通が安定してきて、花がたくさん咲いた苗が多く出回る時期になると、中には根詰まりを起こしている苗も見かけるようになります。
そんなときは、無理にほぐさず、根を傷つけないように優しく土をゆるめてあげましょう。
根が呼吸できるようになると、植え替え後の生育もぐっとスムーズになります。
3. 日当たり・置き場
パンジー・ビオラは、日当たりと風通しの良い場所がベストです。
日照が足りないと花つきが悪くなり、茎がひょろひょろと間延びしてしまいます。
また、寒さに強い植物なので、屋外での管理が基本です。
霜や雪に当たっても、根が凍らない限りはしっかり耐えてくれます。
MIHO寒冷地の花屋さんでは、雪の下で冬を越させることもあるほどです。
春の訪れとともに、暖かくなるにつれて花数がぐんと増えていきますよ。
季節別の置き場所ポイント
秋(植え付け〜定着期)
- 日当たりと風通しの良い場所で管理。
- 植え付け直後は根が弱いので、強風や西日に注意。
- まだ暑い地域では直射日光を避け、午前中の日差し+午後は半日陰が理想です。
冬(休眠〜耐寒期)
- 凍っても枯れません。
心配でも屋内に入れず、屋外で自然に寒さに慣らすこと。 - 霜が降りる朝は、葉や花がしおれるように見えても日中に復活します。
- 強い北風を防げる位置(建物の軒下など)に置くと◎。
春(開花の最盛期)
- 日当たりの良い場所で、花がらをこまめに摘んであげましょう。
- 昼夜の寒暖差で花色が深くなる時期。
しっかり光を浴びせて育てると一番きれいに咲きます。
初夏(花終わり〜撤収期)
- 気温が20℃を超えてくると徐々に花が終わり、株も弱ります。
- 直射日光や西日が強くなってきたら半日陰へ移動。
- そのまま夏越しは難しいため、種採りをする場合はこの時期に採取して終了です。
4. 水やり
パンジー・ビオラの水やりは、「乾いたらたっぷり」が基本です。
春先から暖かくなるにつれて、少しずつ回数を増やしていきます。
真冬の朝など、地面が凍るような時期は要注意です。
表面の土が乾いて見えても、土中の水分が凍っているだけということがあります。
この状態で水を与えると、凍った水分と一緒にさらに氷が広がり、根を傷めてしまうことがあります。
水切れかどうか迷ったときは、昼頃の気温が上がったタイミングで確認してみてください。
凍っていた水分が溶け、土がしっとりしていれば水やり不要です。
本当に乾いている場合のみ、日中の暖かい時間帯にたっぷり与えましょう。
MIHOポイント:鉢植えの場合は、プランターの底穴から水が流れ出るくらいを目安に与えると、根全体に均一に水が行き渡ります。
冬の夜間や早朝は避け、できるだけ午前10時〜午後2時ごろの暖かい時間に水やりするのがおすすめです。
5. 肥料
パンジー・ビオラは肥料のやり過ぎにも不足にも敏感です。
- 与え過ぎ → 茎が徒長してヒョロつく/葉ばかり茂って花が減る
- 少なすぎ → 葉が黄変して生育が鈍り、花が咲きにくくなる
生育期(秋〜春)の追肥
- 鉢植え・プランターの場合は、2〜3週間に1回くらいのペースで液体肥料をあげましょう。
- 濃い液肥は不要です。
薄めて使うのが基本(表示の倍率の1.5〜2倍に薄めるのがおすすめ)。 - 花が次々咲く時期(春)には、こまめに与えることで花数が増えます。
MIHO急にたくさんの肥料を与えるより、「少量を継続的に」のほうが根にやさしく、長く咲き続けます。
真冬(12〜2月ごろ)
気温が低いと、植物の根もあまり動かなくなります。
この時期は肥料をストップ、またはごく薄めで月1回程度に抑えてOK。
日当たりと風通しを保って、無理に成長させないほうが丈夫です。
春(3〜5月)
気温が上がり、花が一番元気な季節。
薄めの液肥を2〜3週に1回あげると、花つきが長持ちします。
暖かくなるにつれて株が伸びやすくなるので、もし茎が間延びしてきたら、肥料を一度控えて様子を見ましょう。
種から育てる場合の手順

パンジー・ビオラは、種からでも育てられる植物です。
少し時間はかかりますが、色や咲き方を選べるのが魅力。
“自分だけの花”を育てたい方にはおすすめです。
1. 種まき時期
ビオラの種まきは9月上旬〜中旬が最適。
気温が25℃を超えると発芽しにくくなるため、涼しくなってから始めましょう。
2. 種まき用土
市販の「種まき専用土」または「ピートバン」を使用。
清潔で通気性のある土が◎です。
3. 種まき方法
- トレーまたはポットに湿らせた土を入れる
- 種を1〜2粒まき、軽く土をかける(約1〜2mm)
- 発芽まで乾かさないよう霧吹きで管理する
- 発芽したら明るい日陰へ移動し、徒長を防ぐ

4. 発芽後の管理
発芽までは7〜10日。
本葉が3〜4枚になったらポット上げし、根が回ったら定植します。
冬を越して、12月〜翌5月ごろまで開花を楽しめます。
種の採取と保管
花が終わると、子房(種さや)がふくらみ始めます。
5月〜6月上旬が採種のタイミングです。
パンジー・ビオラの種は熟すと「パチン」と弾けて飛び出してしまうため、そのまま放っておくと見つけられなくなることもあります。
こうしておくと、自然に乾燥しながらも中で種がこぼれず、収穫のタイミングを逃しません。
ネットが細かすぎると風通しが悪くなるので、通気性の良い素材を選ぶのがおすすめです。
(ただし目が粗すぎると、種が小さいのでこぼれ落ちてしまうため注意が必要です。)
収穫後は、風通しの良い日陰で2〜3日ほど乾燥させ、紙封筒やクラフト袋に入れて冷暗所で保管しましょう。
湿気を避けることで、翌秋まで発芽率をキープできます。
「採種・増やすとき」の注意点(種苗法について)
かわいい花が咲くと、「この種を採って来年も育てたい!」と思いますよね。
でも、登録品種(育成者が作ったオリジナル品種)の場合、種や苗を他人に譲ったり販売するのは違法になることがあります。
家庭で自分が楽しむ分には問題ありませんが、SNSやフリマアプリで配布・販売するのはNG。
登録されているかどうかは、農林水産省の「品種登録データベース」で確認できます。
▽「種苗法について詳しく」は次の記事でまとめています。
※ただいま執筆中です。今しばらくお待ちくださいね。
MIHOちょっとした意識で、花を育てた人の想いも、植物そのものも守ることができます。
苗で買うか、種から育てるか?
- 手軽に楽しみたい → 苗から育てる
- オリジナルカラーや品種に挑戦したい → 種から育てる
私は両方試してみるのが一番おすすめ。
どちらにも違った喜びがあります。
まとめ
パンジー・ビオラは、寒さに強く、長く花を楽しめる冬から春の代表的なお花です。
日当たりの良い場所で、土が乾いたらたっぷりと水を与え、肥料は少しずつ・定期的に。
ほんの少しのコツで、株はぐんと元気に育ちます。
苗からでも、種からでも育てられ、それぞれに違った楽しみがあります。
種を採って翌年へつなぐのも、花と向き合う大切な時間のひとつ。
ただし、登録品種などは「種苗法」に注意しながら、正しい知識で楽しみましょう。
そして、ほんの少し気をつけるだけで、植物や作り手さんを守ることができます。
それが“花を大切に想う人”としての、やさしい心づかいだと私は思っています。
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