「何もしていないのに、頭の中だけが忙しい」
「気づいたらネガティブなことばかり考えていた」
そんな経験はありませんか?
この「ぐるぐる思考」実は私たちの脳内に備わっている『DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)』という
機能が深く関わっています。
DMNは本来、人間が生き延びるために欠かせない「内面の声」を整える役割を果たしてきました。
でも、便利で安心な現代だからこそ、この仕組みが「厄介者」に変わることもあるのです。
DMNとは?人類に与えられた『内なる自分会議室』

DMNとは、脳がぼんやりしているときに活発に働くネットワークのこと。
仕事中や何かに集中しているときは抑えられていますが、気を抜くと自動的にスイッチが入ります。
たとえば、
- 過去の出来事を思い返して「あのとき、ああすれば良かった…」
- まだ起きていない未来を想像して「もしこうなったらどうしよう…」
こんな風に、頭の中で自分会議を開いている状態こそ、DMNの仕事。

人類の長い歴史では、「危険を回避するために過去を反省し、未来を予測する」ことはとても大切な能力でした。
猛獣に襲われた経験を思い出し、どう逃げるか考える…そんなサバイバルに必須の「備え」を作ってきたのです。
現代では『DMNが暴走する』こともある

・仕事の締め切り
・人間関係のすれ違い
・将来のキャリアの不安
・お金の心配
・SNSでの他人との比較
これらは、サバンナの猛獣ほど「差し迫った危険」ではありません。
しかし、脳は大昔と同じ仕組みで「危険かもしれない」と判断します。
結果として、DMNが必要以上に活動し、過去の失敗を思い出しては落ち込む、起きていない未来を繰り返し不安視する…いわゆる『反芻思考(はんすうしこう)』が止まらなくなってしまうのです。

ぐるぐる思考は“心のブラックホール”になる
「考えても解決しないのに、頭の中で同じことを繰り返す」この状態は、心のエネルギーを大きく奪います。
私自身も経験がありますが、反芻思考にハマると眠れなくなり、気力も集中力も奪われ、何も手につかなくなる…。
最悪の場合、慢性的なストレスや睡眠不足を引き起こし、うつ症状の一因になることもあると言われています。
つまり、本来は人を守るためのDMNが、現代では逆に“心のブラックホール”に変わってしまうのです。
『気づき』がぐるぐる思考から抜け出す第一歩

大切なのは、「DMNは悪者だ」と決めつけないこと。
必要なときには、「過去の反省」や「未来予測」をしてくれる頼もしい存在だからです。
大切なのは、DMNの「働きすぎ」に気づくこと。
気づけばコントロールが可能になります。

DMNの暴走を防ぐための具体策
ここからは、私が試して効果を感じている「DMN暴走防止習慣」を紹介します。
① あえて「意識的に集中」する時間を作る
DMNの活動は、何かに集中しているときは抑えられます。
「何も手につかない…」と思ったときこそ、好きな作業を短時間でもいいからやってみましょう。
おすすめなのは、前回のブログでもご紹介した『ポモドーロ・テクニック』です。
25分間しっかり集中し、5分間の短い休憩を挟むことで、DMNの過剰な暴走を抑えながら、むしろ「アイデア」や「発想力」を引き出す、創造的な方向へと導くことができます。
このリズムある集中と休憩のサイクルが、DMNを“味方”に変える鍵となるのです。
② 雑念が湧いても『気にしない』|マインドフルネス
瞑想が苦手な人も多いですが、マインドフルネスの本質は「気づく」ことです。
「ぐるぐるしてるな」と気づけたら、それでOK。
呼吸に意識を戻すだけでも、DMNの過剰活動をリセットできます。
③ 身体を動かして『物理的に切り替える』
頭の中だけでぐるぐるしているときは、思い切って散歩に出かけましょう。
特に遠くを見たり、自然に触れたりすることは、脳に新しい刺激を与えてDMNの回路をオフにするのに役立ちます。
SNSはぐるぐる思考のエサ場
実は、SNSは反芻思考の温床になりがちです。
何気なく他人の投稿を眺める
↓
「自分は何をしているんだろう…」と比較
↓
気づけば過去や未来の不安を思い出す
こんな経験、ありますよね?
スマホを見るときは意識的に「情報収集の時間」と割り切るのがおすすめです。
『DMNとどう付き合うか』が心の安定を決める

脳は大昔から進化のスピードが遅く、私たちはいまだに「狩猟採集時代」の仕組みで生きています。
現代の情報過多社会では、便利さと引き換えにDMNの過活動が起こりやすい。
だからこそ、『ぐるぐる思考から戻る方法』を自分なりに持っておくことがメンタルケアの第一歩になります。
まとめ|あなたの脳に『おだやかタイム』を
ぐるぐる思考は、あなたが真面目で未来を大切に考えられる人だからこそ起こるもの。
だからこそ、自分を責めずに「今、DMNが頑張りすぎているだけなんだな」と気づいてあげてください。
そして、ポモドーロ、マインドフルネス、散歩。
小さなことからで構いません。
自分の脳に「おだやかタイム」をプレゼントする習慣を今日から始めてみませんか?



