こんにちは、元花屋「和花人」のMIHOです。
前回の私が会社員をしながら副業として花苗オンラインショップを運営した体験談に続き、今回は「利益」について考えていこうと思います♪
ネットショップや花苗屋を始めると、最初に直面するのが「売上はあるのにお金が残らない」という現実です。
私自身、1年目に約400万円の売上を出したにもかかわらず「赤字」。
2年目には売上が「倍以上に伸びた」ものの、利益はほとんど残らず「これで本当に事業を続けられるのだろうか…」と不安になりました。
この記事では、私の実体験を交えながら、花苗屋・寄せ植え屋を目指す方に向けて「利益とは何か?なぜ必要なのか?どう守るのか?」を分かりやすく解説します。
1. 「利益」とは?売上とどう違うのか

- 売上:お客様からいただいたお金(レジを通った金額)
- 利益:売上から仕入れや経費を差し引いて、最終的に手元に残るお金
例えば、1日で3万円売れても、仕入れ・光熱費・備品・交通費を引けば1万円も残らないこともあります。

つまり利益とは、事業を続けるために自由に使える“残り”のお金のことです。
2. 「利益率」とは?
経営の話でよく出てくる「利益率」も、花苗屋さんが知っておくべき数字です。
利益率 = (利益 ÷ 売上) × 100
例①:苗を300円で仕入れて600円で販売した場合
- 売上:600円
- 仕入れ:300円
- 利益:300円
- 利益率:50%
例②:苗を300円で仕入れて500円で販売した場合
- 売上:500円
- 仕入れ:300円
- 利益:200円
- 利益率:40%
3. なぜ利益が必要なのか
利益の役割と使い道
設備投資・業務効率化
・高性能PCやカメラを導入すれば、作業スピードやクオリティが上がる
・作業が効率化すれば「売上をつくる時間」に集中できる
宣伝・マーケティング
・広告やSNS運用に投資することで、新規顧客の獲得につながる
・「売上を作る仕組み」を育てるためには欠かせない
人材への投資
・スタッフやアルバイトを雇えるようになれば、自分は経営に集中できる
・“1馬力”から脱却し、事業の成長が加速する
仕入れ力の強化
・利益があれば、シーズン前に大量仕入れができ、仕入れ単価を下げられる
・「良い条件で仕入れる力」は安定した経営に直結する
不測の事態への備え
・台風・猛暑・病害虫などで苗が全滅することも
・景気の低迷や自分自身の体調不良など、“予想外の赤字”を想定しておく必要がある
・利益がなければ翌年の再スタートすら難しい
学び・自己投資
・経営塾やコンサル、専門書など知識への投資は、失敗を減らし成功率を上げる
・利益を「経営者脳」に変えることで、長期的に見れば何倍ものリターンになる
生活を守るため
・利益が残らなければ、どれだけ売っても生活費にならず“働き損”になる
利益は「とりあえず黒字になればいい」ではなく、「未来の選択肢を増やすお金」「事業を長く続けるための燃料」という位置づけになります。
4.在庫は利益ではない|資産と利益の違い
花苗屋さんや寄せ植え屋さんにありがちなのが、「たくさん在庫を抱えている=儲かっている」と勘違いしてしまうこと。
実際私もそう思っていました(笑)
でも実は 在庫は利益ではありません。
資産とは?
利益とは?
👉 在庫はあくまで「売れればお金に変わる資産」であって、利益とは別モノ。
具体例
- 苗を100万円仕入れても、それは在庫=資産。
- 半分の50万円分を売って80万円の売上になれば、利益は30万円。
- 残り50万円分が売れなければ、利益にはならない。
注意点
- 在庫を持ちすぎると現金が減る
(仕入れた時点で現金が「在庫」に変わる) - 売れ残りや廃棄リスクがある
(花苗は特に「時間が経てば価値が下がる」商材) - 倉庫代や維持コストも発生する
(管理もコスト=利益を圧迫)

だからこそ、在庫を「持っているだけ」で安心せず、 いかに早く売って現金化するか(在庫回転率を上げるか)が経営において、すごく大事なんです。
5.花苗屋の利益が残らない構造的な理由
管理に人が必ず必要
商材が安い割に、管理には「人件費」がかかります。
水やり・植え替え・病気のチェック・仕立て直し…
機械化できない作業が多く、労力コストは高い。
※「薄利多売」なのに「人手は必須」という構造的な矛盾があるんです。
商材が安すぎる
花苗は1苗200〜300円程度が相場。
仮に2.5〜3倍で売っても 500〜700円。
※単価が低いため、1つ売れても利益額は数百円にしかなりません。
数万単位で売らなければ、十分な利益は残らない。
腐る商材である
花苗や生花は「賞味期限」のある商材です。
時間が経てば傷み、売り物にならなくなります。
つまり「売れ残り=即、損失」。
※他業種のように長期在庫を抱えられないのが大きな弱点です。
好きだから仕入れ過ぎてしまう
花が好きな人ほど「これも可愛い!」「新作だから仕入れたい!」と気持ちが先行しがち。
※展示会や市場に行くと、つい何十万単位で仕入れてしまうことも…。
結果として在庫が過剰になり、赤字に直結してしまいます。
値付けが安過ぎる
90年代以降、ホームセンターが大量仕入れ&低価格販売を始めたことで、個人花屋も「価格を合わせざるを得ない」状況に。
※そのため、実店舗や個人経営者も「安くしなければ売れない」と感じ、十分な利益を乗せられないのが現状です。
6. 利益を守るための工夫
1. 仕入れは“売れる数”から逆算
私が心がけていたのは、仕入れを「欲しいから買う」ではなく「売れる数から逆算する」ことです。
具体的には、店の苗在庫を「パレット枚数」で管理しました。
ルールはシンプルで、“○枚以上は増やさない” と決める。
そして、「2パレット売れたら2パレット追加する」という方式で、在庫数が常に一定になるように徹底しました。
こうすると「新しい苗を仕入れたい!」と思っても、パレットが減っていなければ買わない。
その代わりに「どうすれば今ある在庫を売り切るか?」に頭を使うようになり、仕入れの暴走を防げるのです。

この「在庫を増やさないルール」は、赤字になりやすい花苗屋や寄せ植え屋にとって、とても大事な仕入れの基本だと実感しています。
2. 値付けは原価から逆算(2.5〜3倍が目安)
ただし花苗の場合は例外です。
700円以上の苗はよほどの希少性がない限り売れにくく、利益率は悪くないのに利益額が小さいという現象が起きます。
3. ヒット商品の柱をつくる
「毎年これを買う」という定番を育てると、安定した利益につながります。
4. ロスを減らす工夫
売れ残りそうな苗は寄せ植えに使ったり、早めに値下げして回転率を上げる。
5. 私の思考法!常に「自分の人件費」を考える
「自分ひとりだから大丈夫」と思っていると働き損になります。
さらに将来スタッフを雇うなら、人件費を含めたうえで利益を確保する仕組みを早めに意識する必要があります。
7. 実体験から学んだこと

- 1年目:約400万円売上も赤字
好きな花や雑貨を好きなだけ仕入れ、請求書の束に青ざめた。 - 2年目:売上は爆発的に伸びても利益は残らず
物価高騰や景気低迷、長すぎる猛暑も重なり、数字上は黒字でも「3年目をどう描くか」が見えなくなった。 - 師匠の言葉
「経営者は花好きじゃなくてもいい。経営とは仕組みを作ること」
数字に弱い私はこの言葉が胸に突き刺さりました。

ただし、私はこうも考えるようになりました。
軌道に乗せたあとで“好き”に戻る選択肢もある。
これこそが私にとって大事な視点です。
そこで一度立ち止まり、考えました。
——私は「花屋がやりたい」のか?
それとも「花のある人生を歩みたい」のか?

働く「目的」と「手段」をしっかり切り分けて考えることで、本当にやりたいことが見えてきたのです。
8. 利益を考えることはお客様のためでもある
「利益=自分の儲け」と思われがちですが、本当は逆です。
利益があるからこそ、
- 品質の良い苗を仕入れられる
- 来年も店を続けられる(お客様に安心感を与えられる)
- 新しいサービス(寄せ植え教室や宅配など)に挑戦できる

利益は「お客様への責任」でもあるのです。
まとめ|赤字から学んだ「利益」と「目的」の大切さ
1年目に約400万円の売上を出しても赤字だったのは、「好きだから仕入れる」という思考で動いてしまったから。
2年目には売上が大きく伸びたものの、物価高騰や景気低迷で利益が残らず、3年目の未来を描けなくなりました。
けれど、この経験から気づいたことがあります。
「利益を生むのは、必ずしも花苗じゃなくていい」という発想です。
「花屋がやりたい」のか?「花のある人生を歩みたい」のか?
働く目的と手段を分けて考えることで、経営の苦しさから抜け出し、再び“好き”に戻る選択肢が見えてきました。
これから花屋や花苗屋、寄せ植え屋を始めたい方には、ぜひ「利益と目的」の両方を意識してほしいと思います。
そうすれば、赤字に悩むよりもずっと健やかに、長く事業を続けられるはずです。
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