こんにちは、元花屋のMIHOです。
お正月が近づくと、
「何か縁起のいい植物を飾りたいな」
そんなふうに思う方、多いのではないでしょうか。
門松やしめ縄、葉牡丹ももちろん素敵。
でも今日は、少しだけ視点を変えて、“名前そのものが縁起物”な植物たちをご紹介したいと思います。
聞いたことはあるけれど、実は違いはよく分からない…という方も多いシリーズです。
でもこの植物たち、知れば知るほど、お正月にぴったりで、しかも暮らしに自然となじんでくれる存在なんです。
「両(りょう)」シリーズってなに?
まずは少しだけ背景から。
つまりこのシリーズは、豊かさ・繁栄・福を呼ぶことを象徴する名前を持っています。
お正月は、一年の始まりであり、これからの流れを整える節目。
だからこそ、名前に願いが込められた植物を迎えることは、とても日本らしく、意味のある習慣だと思うんです。
万両(まんりょう)|福を抱え込む植物

まずは王道の万両。
濃い緑の葉の下に、つやつやとした赤い実をたっぷりつける姿は、どっしりとした安心感があります。
万両が縁起物とされる理由
- 「万」という字が示す大きな豊かさ
- 実が葉の下につく=福を抱え込む
- 冬でも実が落ちにくい強さ
万両は、「人が無理にどうこうしなくても、必要な豊かさはちゃんと巡ってくる」そんなことを教えてくれる植物だと感じています。
わが家の万両の話
ちなみに、わが家の万両は植えた覚えがありません(笑)
いつの間にか庭の隅に芽を出し、気づけば赤い実をつけるようになっていました。
たぶん、小鳥が運んできてくれたんだと思います。
これがまた、万両らしい。
人の計画を超えて、自然に「ここにあるべきもの」として根づく感じ。
万両は、“与えられる豊かさ”の象徴だな、と実感しています。
千両(せんりょう)|華やかさとご縁の象徴

千両は、赤い実が葉の上に見えるようにつきます。
千両の特徴
- 明るく、華やかな印象
- 人目に入りやすい
- 切り花や寄せ植えにも使いやすい
千両は、「人とのご縁」や「広がっていく福」を感じさせる植物。
わが家では、この千両と十両は、私が好きで植えています。
万両が“授かる福”だとしたら、千両は“巡らせる福”。
生け花でもお正月によく使いますし、玄関や、人を迎える場所に置くと、とても相性がいい植物です。
百両(ひゃくりょう)|静かに満ちる縁起

百両は、少し控えめな存在。
別名「カラタチバナ(唐橘)」
赤い実はつくけれど、数は少なめで、主張もしません。
でもその佇まいには、不思議と「満ち足りた感じ」があります。
百両が似合う人
- 派手なお正月飾りが苦手
- 和モダン・ナチュラルな空間が好き
- 穏やかな一年を願いたい
百両を見ると、「もう十分、あるよ」そんな声が聞こえてくるような気がします。
大きく増やすより、今あるものを大切に整えたい年に、そっと寄り添ってくれる植物です。
十両(じゅうりょう)|足元から増える幸せ

十両の別名は、ヤブコウジ。
背丈は低く、地面近くで赤い実をつけます。
十両の魅力
- グランドカバーになる
- 丈夫で増えやすい
- 「基礎」「足元」を象徴する存在
この十両、わが家ではどんどん増えています。
庭のあちこちで赤い実をつけ、冬になると、まるで小さな宝石みたい。
そしてその実を、息子が楽しそうに摘んでいるんです。
「ここにもあった!」
「こっちも赤いよ!」
宝探しのように庭を歩き回る姿を見ていると、十両って、“増える縁起”だけじゃなく、“楽しみが増える縁起”の植物なんだなと感じます。
派手じゃないけれど、暮らしの中でちゃんと喜びを生む。
それが十両の強さだと思います。
一両(いちりょう)|見えないものを守る植物

最後は一両。
別名は、アリドオシ。
鋭いトゲを持ち、「蟻さえ通さない」と言われるほど、守りが固い植物です。
一両の意味
- 魔除け・厄除け
- 家や心を守る象徴
- 小さくても、芯が強い
見た目はかなり地味。
でも私は、この一両がいちばん精神的な縁起物だと思っています。
目に見える成果より、ブレない心。
自分を守る力。
そんなものを大切にしたい年に、一両は静かに力を貸してくれます。
どれを選べばいい?迷ったらここで
- 大きな流れを呼び込みたい → 万両
- ご縁や交流を広げたい → 千両
- 穏やかに整えたい → 百両
- 基礎を固めたい・家族の笑顔 → 十両
- 心や暮らしを守りたい → 一両
どれが正解、ということはありません。
お正月飾りは、今の自分の気持ちを映すもの。
だからこそ、
「これ、好きだな」
「今の私に合ってるな」
その感覚を、大事にしてほしいなと思います。
ちなみに、お正月の植物や飾りには、実は「どこに位置づけるか?」という考え方があります。
私はこれを、正月飾りの「階層」と呼んでいます。
万両や千両は、神様そのものを迎える飾りではなく、場を整え、気持ちを切り替えるための存在。
その考え方については、別の記事で詳しく書いています。
(▼ 正月飾りの階層についてはこちら)

縁起物は「飾るもの」じゃなく「育っていくもの」
万両が小鳥によって運ばれ、十両が家族の思い出になっていく。
そんなふうに、縁起のよい植物は、お正月だけのものじゃなく、暮らしの中で育っていく存在なんだと思います。
今年のお正月、もし「両シリーズ」を迎えるなら、ぜひその先の時間も、楽しんでみてください。
きっと一年後、今とは違う景色を見せてくれるはずです。
今回ご紹介した万両・千両は、特別な品種でなくても、“意味”や“迎え方”を知っているだけで、十分に縁起物として楽しめます。
▼まずは基本の苗から迎えたい方へ
・万両(定番品種)
・千両(正月向け定番苗)

