こんにちは、和花人のMIHOです。
お正月が近づくと、
「そろそろ正月飾り、どうしようかな」
そんなふうに考え始める方も多いですよね。
門松、しめ縄、鏡餅。
どれもお正月には欠かせない存在です。
今日はあまり知られていない「正月飾りの段階(階層)」という視点から、正月飾りの意味を、少し丁寧に整理してみたいと思います。
正月飾り=縁起物、だけではありません
正月飾りというと、
- とりあえず毎年出している
- 習慣だから飾っている
- 正月らしい雰囲気づくり
そんなイメージを持っている方も多いと思います。
それを分解していくと、正月飾りには大きく「3つの段階」があることが見えてきます。
正月飾りの3つの段階
1. 神様を迎える飾り(結界としての役割)

まず一番外側にあるのが、神様を迎えるための正月飾りです。
代表的なのが
- 門松
- しめ縄
これらはインテリアではありません。
つまりこの段階は、
- 神様への合図
- 清められた場所の印
という、とても公的な役割を担っています。
だからここでは、
- 個人の好み
- 世界観
- おしゃれ
よりも、形式・習わし・地域性が優先されます。
この領域に強い個性を持ち込むと、違和感を覚える人が出るのは自然なこと。
2. 場を整える飾り(暮らしのための飾り)

床の間、玄関の内側、リビングなど、家の「内」に置かれる飾りです。
- 正月花
- 鏡餅
- 掛け軸
- 生け花
ここから初めて、
- 色合い
- 余白
- その家らしさ
- その人らしさ
が許される領域になります。
「新しい年を迎える空間を整える」その役割を担っています。
3. 心を整える準備(時間と行動の段階)

ここが、一番見落とされがちな段階です。
この三つ目の段階は、昔から名前がついていたわけではありません。
ただ、日本の正月文化を眺めていると、確かに存在している「時間の使い方」だと感じています。
心を整える準備とは、何をする段階なのか?
「心を整える」と聞くと、少し抽象的に感じるかもしれません。
でもこの段階は、何もしない時間ではありません。
正確に言うと、
です。
この段階で“すること”
- 今年を、これ以上動かさない
- 新しいことを、もう始めない
- 判断や決断を、いったん止める
つまり、「整え終わった状態で立ち止まる」こと。
具体的には、こんな行動です
- 大掃除を終えたあと、あえて何もしない
- 正月飾りを飾ったあと、しばらく眺める
- 来年の目標を書き出すのをやめる
- 仕事道具を片付け、「今日はここまで」と区切る
- テレビを消し、部屋の静けさを感じる
これらはすべて、整えたあとに余白をつくる行為です。
なぜ「止まること」が必要なのか
私たちは一年中、
- 考えて
- 判断して
- 選び続けて
生きています。
だからこそ、正月前のこの時期には、意識的に止まる選択が必要になります。
心を整えるとは、前向きになることではなく、一度、完全に区切ること。
②の飾りが、③の時間をつくってくれる
場を整える飾り②は、この③への移行を助けてくれます。
正月リースや正月花は、
- もう触らなくていい
- これ以上、足さなくていい
- 今年はここで終わり
そう教えてくれる区切りのサイン。
だから、
飾る → 眺める → 何もしない
この流れが自然に生まれます。
正月飾りは「祝う」から「整える」へ
正月飾りは、もっと自由でいい。
何を飾るかよりも、どう迎えたいか?
静かに整えたい年もあれば、何も足さずに迎えたい年もある。
それも全部、正解です。
この正月、もし少し立ち止まれる余裕があったら、
「私は、今どの段階を必要としているんだろう?」
そんなふうに考えてみてください。
整えることも、立派なお正月の迎え方です。

