こんにちは!元花屋「和花人」のMIHOです!
庭を眺めていると、「もう少し立体感がほしいな」「フェンスや壁をもっと素敵にできないかな」って思うこと、ありませんか?
そんな時におすすめしたいのが、「つる性植物」たち。
ふんわりと枝葉を伸ばし、空間をやさしく彩ってくれる姿は、まるで庭が呼吸しているかのような心地よさを感じさせてくれます。
今回は、私自身が実際に育ててみて「これは本当におすすめ!」と思った、庭植えにぴったりなつる植物たちを6種類ご紹介します。
育てやすさはもちろん、花や葉の魅力、季節ごとの変化、ちょっぴり豆知識や効能なんかも添えて。
“ただ美しいだけじゃない”、庭と暮らしにそっと寄り添ってくれる植物たちと出会ってみませんか?
1. ノブドウエレガンス


まずご紹介するのは、ノブドウエレガンス。
別名「ゴシキブドウ」とも呼ばれるこの品種は、まるで絵画のように美しい白とピンクの斑入りの葉が特徴です。
春の新芽の時は葉の斑は薄く、徐々に葉色がくっきりと表れるようになります。
日光をたっぷり浴びて育つため、日向での栽培が最適です。
耐寒性が強く、元気に育つのがポイント。
生長が早いため、大きくしたくない場合は剪定をこまめに行い、フェンスや壁を這わせると、力強く成長してくれます。
学名:Ampelopsis glandulosa ‘Elegans’
花期:5月~6月(※夏~秋に果実)
草丈:3~4m
日照:日向け
耐性:耐寒性◎、耐暑性◎
【育て方】
◇日光を好み、日当たりが良い場所で育てると、葉がより鮮やかになります。
◇夏場の直射日光で葉焼けする場合があります。
◇水はけの良い土壌を好みますが、乾燥にも強く、丈夫なため、比較的管理が楽です。
◇しっかりとした支柱やフェンスに這わせると、力強い成長を見せます。
◇秋には、赤い葉と共に青紫色の果実が美しく、観賞用としても十分魅力的です。
【豆知識】
ノブドウエレガンス(野ぶどう)の秋の実は、青や紫、赤などまるで宝石のように色づきますよね。
実はその色、虫が関係しているってご存知でした?
実の中には、ブドウタマバエやブドウトガリバチの幼虫が寄生し、「虫えい(虫こぶ)」を形成することが多く、ほとんどの実がその影響で色が変化するそうです。
虫えいを伴わない、いわゆる「正常な実」はかなり少なく、白っぽい色をしていて、あまり目立たないことが多いんです。
つまり、色とりどりの実は、実はほとんどが虫えいされたもの。緑→白→水色→青→紫→赤…と多彩に移ろうグラデーションは、虫えいによって引き起こされる自然の芸術とも言えます。
虫が入っているため、食用には適さないということらしいですね!
2. 斑入りあけび


次に紹介するのは、斑入りあけびです。
その美しい斑入りの葉が特徴で、庭に立体感を与えつつも、柔らかい印象を与えてくれます。
春になると、薄紫色の小さな花が咲き、香りが漂うので、風に吹かれると甘い香りがふわっと広がります。
この花は、一見地味に見えるかもしれませんが、風に揺れる様子はとても幻想的。
葉の斑入りが特に美しく、グリーンと白、時には薄いピンク色が重なり合い、光に当たると輝くように見えるのです。
特に半日陰でも育つので、日光が足りない場所でも楽しめます。
学名: Akebia x pentaphylla
花期:4月~5月
草丈:1~5m
日照:半日陰~日向け
耐性:耐寒性◎、耐暑性◎
【育て方】
◇半日陰で育てると、斑入りの葉が美しく映えます。
◇湿度の高い場所でも育ちますが、風通しの良い場所を選んでください。
◇水やりは土が乾いてから行い、過湿を避けるようにしましょう。
◇他のアケビと混植しても、かなり大きく成長しないと実がつかないため、葉の観賞用として楽しむ方が無難です。
◇剪定は夏にツルの先を切り、分岐させましょう。冬は花芽を持っているのであまり強く切らないようにしましょう。
【豆知識】
アケビには「三つ葉アケビ」と「五葉アケビ」があります。
実はこれ、別の種類なんです。
- 五葉アケビは、一般的によく見る品種で、葉が5枚。
- 三つ葉アケビは、山地に多く、葉が3枚のタイプ。
実は、葉の枚数だけでなく「味」や「香り」も少し異なります。
・五葉アケビの実は甘みが強く好まれる味わい。
・三つ葉アケビの実は少し苦みがあり、クセのある野趣あふれる風味
どちらも育てられますが、異なる品種を一緒に植えると実がなりやすくなるので、ガーデニング的にも相性◎です♪
3. クレマチス

クレマチスは、つる性植物の中でも特に人気が高く、さまざまな品種が楽しめるのが魅力です。
花が次々と咲き誇り、まるで一つ一つが絵画のよう。
特に、春先に咲く花は色鮮やかで、品種によっては芳香も感じられるため、庭に温かみを与えることができます。
日当たりを好み、風通しの良い場所で育てると、さらに健康に育ちます。
また、花が咲いた後に剪定を行うことで、次のシーズンもたっぷりと花を楽しむことができます。
学名:Clematis
花期:4月~10月(繰り返し咲く品種もあり)
草丈:1~3m
日照:日向け
耐性:耐寒性◎、耐暑性◎
【育て方】
◇日当たりが良い場所で、風通しの良い場所を選んで育てましょう。
◇水はけの良い土壌を好み、乾燥を嫌いますが、湿気も苦手です。
◇剪定を行うことで、分岐し、花数が増えます。
◇肥料は緩効性肥料を1~2ヶ月に1回施します。※真夏は肥料焼けを起こすため控えます。
◇花が大きくて美しいので、フェンスやアーチに這わせると、美しい風景が作れます。
【豆知識】
クレマチスが日本で古くから「鉄線(テッセン)」と呼ばれてきたのには、ちゃんと理由があります。
その名のとおり、茎が「鉄の線」のように細くて硬く、しなやかで丈夫な様子が名前の由来なんです。
実際、そのつるはよほど引っ張らないと簡単には切れない頑丈さがあります。
さらに、日本ではこの植物が唐草模様などに描かれる文様のモチーフ「鉄線紋(てっせんもん)」としても親しまれてきました。
蔓がぐるりと回り込みながら伸びる様子は、「強い絆」や「結びつきを深める縁」の象徴として、着物や家紋の図案にも取り入れられています。
また、「テッセン(鉄線)」という言葉、実はクレマチス全体の和名ではなく、中国原産のある品種を指す名前なんです。
花は白または淡紫色で、萼片が6枚であることが特徴です。
4. アブチロン「チロリアンランプ」

次にご紹介するのは、アブチロン「チロリアンランプ」
この植物の最大の特徴は、何と言っても「ランプ」のような形をした花です。
まるで小さな灯篭のように吊るされて咲く花が魅力的で、庭にとてもエキゾチックな雰囲気を漂わせます。
長い期間花が楽しめるため、庭の隅にひとつ植えるだけで、どんどん枝を出して花を咲かせ、華やかな印象を与えてくれます。
日光を好み、湿度の高い場所でも元気に育ちます。
学名:Abutilon megapotamicum
花期:4月~11月
草丈:0.2~2m
日照:日向け
耐性:耐寒性△、耐暑性◎
【育て方】
◇日当たりが良く、風通しの良い場所で育てましょう。
◇成長が早いため、鉢植えの場合は根詰まりに注意しましょう。
◇伸び過ぎた枝は冬を除けば剪定可能です。
◇剪定は、葉の無い株元近くの場所を切ると枯れこんで枯死してしまうので注意しましょう。
◇水はけの良い土壌を好み、過湿に注意が必要です。
◇摘花や剪定をこまめに行うと、花の量が増えてより華やかな庭に。
◇可愛らしいランプのような花が特徴で、長い期間楽しめるのが魅力です。
【豆知識】
チロリアンランプとして親しまれているアブチロン・メガポタミクム。その和名は「ウキツリボク(浮釣木)」です。どうしてそんな名前かというと、枝からぷらりと下がる花姿がまるで釣りの「ウキ(浮き)」のように見えることが由来なんですね!
一方、「チロリアンランプ(Tyrolean Lamp)」という園芸名は、オーストリアのチロル地方にあった伝統的な山小屋のランタンの灯りを思わせる形と色にちなんで付けられたそうです。
5. ジャスミン「フィオナサンライズ」


ジャスミン「フィオナサンライズ」は、年間を通して美しい黄金葉を楽しめるコモンジャスミンの黄金葉となります。
※羽衣ジャスミンなどとは品種が異なりますが花の香りはとても芳しいものとなります。
特に夏の朝、花が咲くとその香りが広がり、リラックスしたひとときを提供してくれることでしょう。
乾燥にも強く、管理が簡単なため、忙しい人にもおすすめです。
学名: Jasminum officinale ‘Fiona Sunrise’(’Frojas’)
花期:6月~9月
草丈:2~4m
日照:日向け
耐性:耐寒性△(-5度程度)、耐暑性◎
【育て方】
◇日光を好みますが、夏の強い日差しを避けるために午前中の陽光が理想です。
◇乾燥にも比較的強く、土壌はあまりこだわりません。
◇水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与えましょう。
◇優れた香りを持つ花が咲き、芳香が庭に広がり、リラックスした雰囲気を作ります。
【豆知識】
ジャスミンは、古代エジプト時代から愛されてきた植物で、花の香りにはリラックス効果があるとされ、香水にもよく使用されます。
6. ハーデンベルギア


最後に紹介するのは、ハーデンベルギア。
花色は「ホワイト」「濃いパープル」「淡いピンク」の三種類あり、寒さに強く、冬の庭でも元気に育ち、春の訪れを知らせてくれる存在です。
花は細かく密集して咲き、まるでリースのように枝を飾ります。
比較的コンパクトなサイズなので、狭い庭でも使いやすく、フェンスやアーチに這わせると、シックな雰囲気を作り出します。
学名:Hardenbergia violacea
花期:3月~5月(※流通は12月~4月まで)
草丈:1~2m
日照:日向け
耐性:耐寒性△(-3度程度)、耐暑性◎
【育て方】
◇日当たりの良い場所で育てると、早春に花が咲き、庭が華やかになります。
◇乾燥にも強いですが、春先には水やりをしっかりと行うと、花がよりきれいに咲きます。
◇過湿は苦手です。
◇強い成長力を持つため、定期的に剪定して形を整えましょう。
◇真夏の直射日光や西日は葉焼けを起こすため半日陰になるように管理します。
◇株元や根の部分が高温になると枯れこむため注意しましょう。
◇剪定は秋以降は花芽が出来るため切らないようにします。
【豆知識】
この植物の属名は、19世紀のオーストリア貴族である フランツィスカ・フォン・ハーデンベルク伯爵夫人 の名前にちなんで付けられました。
おわりに
つる性植物って、ただ上へ伸びるだけじゃなくて、空間を立体的に、やさしく、そしてドラマチックに変えてくれる存在だなぁと思います。
今回ご紹介した6種は、どれも育てやすくて、それぞれに個性があって、庭の風景に「物語」を添えてくれるような植物たちばかり。
お花の咲き方、葉の色づき方、そして意外な豆知識まで…
知れば知るほど愛おしくなって、気づけば庭に出るのが楽しみになるかもしれません。
お気に入りの一株を見つけて、「あなたらしい庭づくり」の一歩にしてもらえたら嬉しいです。


