忘れられた日本の果物「和果」とは?野生と栽培の違い・昔の暮らしの知恵を紹介

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今回の記事の目次

はじめに|“お菓子”の原点は果物と自然の恵みだった

今でこそお菓子といえば、砂糖やバター、小麦粉を使った甘いスイーツが定番ですが、実はその原点はもっとシンプルで、もっと自然に寄り添ったものでした。

古代の日本において、「お菓子」のはじまりは、果実や木の実、和ハーブなどの自然素材を使った食べ物。
これらは「和果(わか)」と呼ばれ、神事や薬用、季節の恵みとして食されてきました。

今回は、「和果」と呼ばれる日本古来の果物たちと、それにまつわる和ハーブ文化について深掘りしてみましょう。

和果とは?|日本の風土に根ざした果実文化

「和果(わか)」とは、日本の風土に育まれた日本原産の野生果実や、江戸時代以前から栽培されていた果物(栽培種)のことを指します。

この「和果」は、現代のように加工されたお菓子がなかった時代において、自然からの贈り物であり、貴重な甘味・栄養源・薬草でもあったのです。

「野生種」の和果一覧|自然の恵みとしての利用法

画像:生成AI✕MIHO
果物名特徴・利用法昔の使われ方・民間利用
ヤマブドウ野生ブドウで酸味が強くポリフェノールが豊富。酒(どぶろくや薬酒)や酢の原料として活用。疲労回復や滋養強壮に。
サルナシキウイに似た風味でビタミンCが豊富。生食や干して保存。山の滋養源として登山者や猟師が愛用。
野イチゴ小粒で香り高く、甘酸っぱい味わい。春の山菜と同じく摘んで食べる文化。干して冬場の保存食にも。
グミ独特の渋みと甘み。鉄分・ビタミンCが豊富。子どものおやつや渋みを和らげて砂糖煮に。のどの薬としても使われた。
イヌビワ無花果に似た風味でやや酸味あり。熟した実を潰して甘味として利用。葉や樹皮は虫よけや染め物に。
アケビ果肉はゼリー状で甘いが種が多い。皮は苦味あり。実は生食、皮は山菜として炒め物や味噌詰めにして加熱調理。
ナツハゼブルーベリーに似た見た目。抗酸化力が高い。昔はジャムや干し果実として保存。目の健康に良いと信じられていた。
イチイ実は甘いが、種は有毒。薬用樹として知られる。果肉は少量をおやつに。枝葉は魔除けや祈祷具として神事に使われた。
タチバナ日本在来の柑橘。香り高く神聖視されていた。宮中行事や祭礼の供物。皮は乾かして「陳皮」にし漢方として利用。

これらの果実は、地域の自然とともにある暮らしの中で、野山に分け入り、季節ごとに採取されていました。

「栽培種」の和果一覧|食と薬が一体だった果物たち

画像:生成AI✕MIHO

日本で古くから栽培され、食文化に根付いていた果物たちです。

果物名特徴・利用法昔の使われ方・保存法
ビワ初夏に実る淡い甘みの果実。葉は薬効が高い。果実は生食または干しビワに。葉は「ビワの葉温灸」や民間茶に使用。
甘く香り高い。邪気払いの象徴。節句の供物。果実は食用、葉は入浴剤に。魔除けとしても用いられた。
水分が多く爽やかな甘さ。利尿・咳止め効果あり。風邪の時にすりおろして食べた。保存は塩蔵や干し梨として。
スダチ爽やかな香酸柑橘。疲労回復・消化促進効果。魚料理や薬味に。果皮を干して保存し、薬味や薬用に利用。
リンゴ日本では「和リンゴ」が古来からあった。酢漬けや干しリンゴにして保存。昔は「一日一個で医者いらず」とされた。
杏(あんず)甘酸っぱく、漢方にもなる種子(杏仁)を持つ。干し杏として保存。種は煎って杏仁霜や咳止め薬として利用。
酸味が強く、殺菌・疲労回復に優れる。梅干し、梅酢、梅酒として保存。解毒・腹痛・夏バテ対策に。

これらの栽培果実は、収穫・保存・加工という暮らしの知恵とともに、家庭内で活用されてきました。

和果と和ハーブの交差点|自然と共にある知恵

和果は、しばしば和ハーブ(日本の薬草・香草)と組み合わせて用いられていたことも見逃せません。

たとえば、梅の葉や赤シソを使った保存法、ビワの葉茶、柑橘類の皮を乾燥させた陳皮など、「食と薬」の境界が曖昧だったのが日本の伝統的な暮らしでした。

和果と和ハーブの例

  • ビワの葉 × くず粉(解熱・養生の和菓子)
  • アケビ × よもぎ(腸内環境を整える食材)
  • 梅 × 赤しそ(防腐・抗菌)
  • スダチ × しょうが(風邪予防・消化促進)

現代の言葉でいえば「食養生」。自然とともに生き、自然で整えるという日本人の知恵がそこにあります。

現代に活かす「和果」の楽しみ方

画像:生成AI✕MIHO

今ではスーパーで海外の果物も簡単に手に入る時代。でも、和果には四季のリズムを感じる繊細な美しさや、滋味深い味わいがあります。

現代の暮らしへの取り入れアイデア

現代でも和果を使った体に良いレシピがたくさんあります。
さらに和ハーブと組み合わせて、季節の薬膳スイーツに仕立てれば、美味しくて体にもやさしいですね。

アイデア具体化例
梅の保存青梅のはちみつ漬け、梅酢+味噌で自家製ドレッシング
ビワの葉ビワの葉茶 × 乾燥花(よもぎ・ハーブ)でブレンドティー
野イチゴやナツハゼヨーグルトに自家製ジャム、ミントを添えて季節の朝食
干し杏を刻んでグラノーラに混ぜる“和果スナック”

おわりに|和果は“文化”であり“記憶”

和果は単なる「果物」ではありません。
それは、日本人の自然観、暮らしの知恵、祈り、そして美意識が凝縮された文化遺産のようなもの。
私たちのルーツにある「和果」を、もう一度見直し、日々の暮らしにそっと取り入れてみませんか?

自然と寄り添いながら生きる。
その心を、和果とともに取り戻してみると、どこか懐かしくて、でも新しい「日本らしい豊かさ」が見えてくるはずです。

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