家づくりの計画を立てるとき、みなさんはどんな空間を一番大切にしたいと思いますか?
私の場合、どうしても叶えたかったのが「坪庭」でした。
新居の間取りを考えるとき、ハウスメーカーの担当さんに「ここだけはどうしても」とお願いして、和室の地窓から眺められる坪庭スペースを確保してもらいました。
それが私の坪庭DIYのスタートです。
和風庭園を一から自分で作るという決意

正直に言えば、私は庭づくりのプロではありません。
新居完成前の時点では、ちょっとプランターにお花を植えてみて楽しんでる程度で「ド素人」の状態でした。
当初は、業者の方に依頼することも考えて、見積りを出してもらいましたが、価格帯が折り合わず断念。
しばらくは、それらしい石を置くだけで取り繕っていましたが、それだけでは物足りなかったのです。
「もっと本格的な坪庭にしたい!!」そう決意した私は、和風庭園の専門雑誌を何冊も買い集め、蹲踞(つくばい)や筧(かけひ)の配置、植栽の選び方、砂利の敷き方まで、隙間時間を使って勉強しました。
どんな坪庭にしたいのかを考える時間は、私にとってまるで旅をしているような豊かな時間でした。
「こんな庭が家にあったら、季節を感じながら眺めることができるな」とか、
「子どもがこの坪庭をみながら成長し、植物や生き物に興味を持ってくれるようになるかも」とか、頭の中で何度も理想を描きました。
蹲踞の主役は、実家の庭からやって来た手水鉢

今回のDIYで一番のポイントになったのが「蹲踞」です。
手水鉢は私の実家の庭に、築100年以上の家と一緒にひっそりと佇んでいたものでした。
誰にも使われなくなって、何十年も苔むした手作りの手水鉢。
「これを新居の坪庭に生かせたら…」
そう思った私は、家族に相談し、大人3人がかりで慎重に車へ積み込みました。
その蹲は予想以上に重く、大人3人がかりでも移動するのがとても大変だったことを今も覚えています。
古いものを新しい暮らしに迎え入れるって、何だか素敵じゃありませんか?
循環式ソーラー噴水で手間いらずの水音

手水鉢を置くと決めたものの、問題は水の循環でした。
市販のタンクで手水鉢に合う大きさのものがなく、どうしようかと考え抜いた結果、私は既成の循環式ソーラー噴水タカショーさんの「ソーラーパティオファウンテン」を解体することにしました。
ソーラーとタンク、循環ポンプだけを抜き出し、主人に頼んで庭に穴を掘ってもらい、別で購入していた循環用タンクを埋め込み、配置してもらいました。
こうしてソーラーの力で自動的に水が循環する蹲踞が完成!
しかも、時間設定をしておけば、決めた時間だけ水が流れて止まってくれるので、電気代も水道代もかからず、維持がとても楽なんです。
「タカショー筧『合成竹カケヒ 2.5尺』」という筧をパーツで購入して設置したので、見た目は本格的な和風の趣。
この筧が、小さな庭の雰囲気をぐっと引き締めてくれました。
砂利の色と植栽で坪庭に表情を

蹲踞を設置した後、庭全体の雰囲気を作るために白と黒の砂利を選びました。
石の色のバランスで光の当たり方や奥行きが変わるので、何度も仮置きをしては全体を眺め、納得いくまで調整。
植栽はヤマアジサイの「藍姫」、庭ナナカマドなど、和の景色に合うものを選びました。
季節ごとに花や葉の色が移り変わり、年中楽しめるのがポイントです。
和室の地窓から見る坪庭は、まるで一幅の絵のように小さな四季を切り取ってくれます。
1年かけて完成した坪庭は家族の癒し

振り返れば、この坪庭が形になるまでにかかった時間は約1年。
仕事や家事の合間にコツコツと手を動かし、少しずつ完成に近づけていきました。
一番のご褒美は、息子が和室の地窓に座り込んで流れる水をじっと眺めている姿です。
坪庭に耳を澄ますと、筧から落ちる水の音と、鳥の声や風の音が混ざり合って、まるで別世界にいるかのような穏やかさを感じます。
玄関先など、「室内」で蹲踞を楽しみたい方には、こちらの青山ガーデンさんが販売されている商品がおすすめです。
穴を掘るような大掛かりな蹲踞を設置してしまうと、内部の掃除などメンテナンスが結構大変なので、自分に合った坪庭造にチャレンジしてみてくださいね!
ご注文される際は必ず大きさ(サイズ)を確認してくださいね。大き過ぎると室内に収まらない場合もあるので、注意しましょう。
坪庭DIYは「小さな和」の贅沢
大きな庭がなくても、坪庭なら限られたスペースで本格的な和の演出を楽しめます。
しかも自分で作ることで、庭はただの景色ではなく、暮らしの一部に溶け込む「物語」になります。
今、もし「庭をどうしようかな」と考えている方がいたら、ぜひ自分で作ってみてください。
筧ひとつ、砂利ひとつにもこだわる時間が、あなたの暮らしをもっと好きになるきっかけになります。
坪庭づくりで大切にしたいこと
最後に、これから坪庭をDIYする方へ私から伝えたいのは、「焦らずゆっくり進めて大丈夫」ということです。
私は欲しい材料がすぐに手に入らなかったり、仕事が忙しくて手をつけられない時期もありました。
でも、そのおかげで「この庭には何が一番合うだろう?」と考える時間が増え、結果として自分でも大満足の仕上がりになったと思っています。
坪庭は小さいけれど、家族がほっとできる贅沢な空間です。
私のように古いものを取り入れたり、ソーラー噴水で手間いらずにしたり、工夫次第で自分らしい庭はきっと形になります。
おわりに
坪庭は季節を感じさせてくれる小さな和の舞台。
誰かに見せるためだけではなく、自分の心を整えるための庭として、これからも大切に育てていきたいです。
もし、あなたの家にも「ちょっとだけ和」を取り入れられる場所があれば、ぜひ坪庭DIYに挑戦してみてください。
その先に、きっと自分だけの特別な景色が広がっています。




